研究成果

Research

学部卒業論文

2019年度卒業生(2期生)

200131_2期_サッカー

「背番号10の呪い」は存在するのか?FIFAデータからみるサッカー選手の試合行動

稲見勇輔・小林哲也・原山駿・原祐真

本研究ではステータスの獲得が個人のパフォーマンスと組織貢献に与える影響を測定する。先行研究は、ステータスの獲得が個人のパフォーマンスと組織市民行動(Organizational Citizenship Behavior)に正の影響を与えるとしている。しかし、組織市民行動に関する先行研究には問題点がある。それは自尊心といった感情の高低を考慮していない点である。自尊心を高めすぎることは、傲慢や自信過剰に繋がるため、組織市民行動を低下させる可能性がある。はたしてステータスの獲得は個人の行動変化にどのような影響を与えるのか。そこで、本研究は約16万のプロサッカー選手の12年分のパネルデータをゲームから収集し、固定効果回帰分析と差の差分析を行った。その結果、固定効果モデルではステータスの獲得が個人のパフォーマンスに与える正の影響と組織貢献に与える負の影響が支持された。しかし、差の差の分析ではそれらの仮説に対する影響は支持されなかった。仮説は部分的支持にとどまるものの、ステータスの獲得は個人のパフォーマンスを向上させる一方で、組織貢献を低下させる可能性がある。よって組織をマネジメントする上で個人へステータスを付与することは注意が必要であることが示唆された。

2018年度卒業生(1期生)

2019_1期_ゲームレビュー

感情エントロピー :アプリプラットフォームにおける新たな評価指標の創出

秋廣脩人・ 伊原明空・西野梨来

ゲームをはじめとするエンターテイメント系アプリの質をユーザーが利用前に特定すること は困難である。そのため、ユーザーは購入前にアプリプラットフォームにおけるセールスラ ンキング、5 段階評価や平均評価などのレイティングといった評価に頼らざるを得ない。し かし、これらの評価手法はアプリの質を反映していない可能性がある。セールスランキング が上位でも低評価が大量につくこともあれば、レイティングが一定の水準に収斂しない場合 もある。そこで、本研究はエンターテイメント系アプリの質をより正確に示す新しい評価基 準の指標を考案した。具体的には、アプリゲームのレビューにおいてユーザーが使っている 形容詞と副詞の自然言語データを用い、「感情エントロピー」を算出した。分析の結果、セ ールスランキングの水準はアプリのユーザー数と統計的に関係しない一方、本研究が提示し た感情エントロピーはユーザー数と正の関係をもつことが明らかとなった 。

大学院修士論文

2019年度修了生

2020_大学院_ムードメーカー_木村

ムードメーカーの残存効果 : グループの創造性の影響に関する実験

木村純子

グループの創造性を高めるためにはアイデア創出に貢献するアイデアメーカーが不可欠である。一方で、こうしたアイデアメーカーがいなくなると、グループの創造性は突然低下してしまう。アイデアメーカーに依存せず、継続的にグループ全体の創造性を高める、あるいは維持する方法はあるのか。そこで本研究は、アイデアに直接貢献するかは不明だが、周囲にポジティブな雰囲気を作り出すムードメーカーの役割に着目した。ポジティブな感情をもった人は創造性が高まる。さらに、ポジティブな感情は周囲にも伝染するため、グループ全体の創造性を高める可能性がある。本研究は、ムードメーカーがグループムードとグループの創造性に与える影響を分析する。具体的には、ムードメーカーがいたチームは、ムードメーカーが欠損した後もグループの創造性は高まるという残存効果仮説を提示し、アイデアメーカーチーム、コントロールグループとの比較実験で検証する。分析の結果、グループムードはグループの創造性に相関することが確認できた。しかし、ムードメーカーおよびアイデアメーカーの残存効果については、統計的に有意な結果は得られなかった。ただし単純な前後比較では、ムードメーカーは他チームと比べ、一人当たりのカテゴリー数、標準化したアイデア数、カテゴリー数において、欠損直後の落ち込みが少なかった。本研究は、残存効果の有無を結論づけるにはサンプルサイズが不十分だが、ムードメーカーの創造性に対する影響という新たな研究領域を広げることに貢献した。